産地別標本集⑥ 甲山鉱山
広島県福山市北部に位置する甲山鉱山は、60年代になって初めて地元の農民が発見し稼坑したという点で非常に興味深い。詳しい発見の経緯は以下に挙げる産総研の資料に記述があるが、鉱床発見の切っ掛けが学校の校庭に露出した石英脈であったというのは日本の鉱山史上でもかなり珍しい部類に入るのではなかろうか。
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/65_02_03.pdf
鉱石の平均品位はトン当たり金銀共に20~30gとかなりな高品位であり、この鉱山の発見は当初は見込みなしとされがちであった中国地方における金鉱探査が見直される切っ掛けになったとされる。
標本は緑泥石等の粘土鉱物に富む石英塊の一部に、黄銅鉱や濃紅銀鉱といった硫化鉱物と濃密に混じる極微細な自然金が付くもの。観察には顕微鏡を必要とする。